鎌倉で竹の製品や内装材の販売、竹を用いたインテリアの企画・設計・製作等を行う寅堂のウェブサイトです。


店舗プロデュース すい庵




場所:神奈川県藤沢市鵠沼花沢町

4階建ての白いビルの1階。小道に面した間口に対して、奥行きの深い、細長い空間での内装依頼。旧店舗からの移転で、既に20年ほどのキャリアをお持ちの 店主Mさんは、茶道歴も長く特に「茶花」への深い愛着をお持ちだった。

固定客の年齢層も7歳から90歳までと幅広く、高校生のカップルや、家族連れ、スポーツ仲間、寡黙な紳士・・・・・など、多士多彩。

常連さんと新規顧客をどう迎え入れるか、というテーマに絞ってイメージプランと平面プランを考えた。同時に、設備面の確認や近隣へのインパクトも調査した。 「そば」のイメージである、「天然色」「細く・長く」をテーマに、竹・木・和紙・土・石を主な素材として、無添加無着色の内装を目指した。

幅広い客層に対応すべく、店内に4つの空間を計画した。 常連さん用の、囲炉裏席。家族連れ、グループ用のテーブル席。 仲良しカップル向けの2人席。少し特別な個室席。

メインイメージの竹は、節の線の柔らかい「女竹」。配膳カウンター下には、力強い「サラシ竹・トクサ貼」。囲炉裏席の「無双窓」仕立ての格子は、煙に燻された と言う設定で、「本煤竹」を使用。 竹は、太さ・長さ・種類の3要素。それを、丸竹・半割・平割の3形態の使用パターン。平割りは、網代に編んだり、ランダム編みにしたり、立体を構成したりと、幅が広がる。

すい庵では、竹格子組・竹半割貼(木賊貼と目透かし貼)、などを使用した。 他、暖簾は店主の所蔵の古布「麻布」を使用。ロゴの書は、画家・伊藤方也氏に依頼。 施工全般は、白山洋三氏の監督の元、木工事・クロス工事・設備工事熟練の手に委ねられた。

個室である庵(いおり)の2畳の茶室の作庭と店内の土間は、 庭師・上野周三氏に特にお願いした。他、関わって戴いたのは、次の通り。
家具作家・谷口清人氏、松山祐太氏。
秋田木工、トライトン、サントリー樽ものがたり
かんばんや、植祐、アトリエフォーレ。

JR藤沢駅南口から徒歩3分。本格を目指した、すい庵。
「すい」は、「粋」と店主の名前から「水」の一字の、両方の意味か。

(山田修一)

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